交通事故の示談成立までの流れを知るとトラブル防止になる

交通事故の損害賠償というのは、一般の方からしてみると、とても難しい仕組みになっています。

そして、これが、被害者の方や被害者のご家族が「適正な損害賠償金を受け取れない」という現実を生んでいます。 被害者の交通事故の知識はごくわずかです。

その一方、示談の相手となる保険会社の知識と経験は膨大です。

この両者が示談交渉を行っても、対等であるはずがありません。

知識のない被害者からすると、保険会社の担当者から「これはこうですよ」と断定的に言われてしまうと、
「きっとそうなんだろう」と示談書に判を押すしかありません。

反論しようにもその材料がないのですから、相手の主張に従うしかない、というわけです。

ここで、とても重要なことがあります。

それは、

本来、被害者が受け取るべき適正な損害賠償金と保険会社が示談で提示する損害賠償金の案には、大きな開きがあることが少なくない

ということです。

ひどいケースになると、本来、受け取るべき損害賠償金の半分以下しか受け取っていないという被害者の方もいます。 このようなケースは決して「稀なこと」ではありません。

問題は、被害者の方がそのことに気づく機会がないことです。
被害者は弁護士のように被害者側を守る知識がないからです。

被害者の方と保険会社の知識が同じになってはじめて、対等な立場となるのです。
それによって、適正な損害賠償金を受け取ることが可能になります。

もし、不幸にも交通事故に遭ってしまったのであれば、
示談書に判を押す前に交通事故に詳しい弁護士に相談するか以下の弁護士解説の交通事故無料小冊子をご一読ください。

後からおかしいと気づいても、示談書に判を押してしまえば、弁護士であっても取り返すことはできないのですから。

交通事故弁護士が示談の流れと示談交渉の注意点を解説

交通事故示談までの流れ

この流れを頭に入れておくと、交通事故被害のスムーズな解決が図りやすくなります。

逆にこの流れを把握していないと、自分が次に何をすべきかが分からず回り道をしたり、しかるべき損害賠償を受けられなく可能性があります。

交通事故示談成立までの流れ

①事故発生
②相手(加害者)の身元の確認
③警察への通報、実況見分調書の作成
④加害者、被害者双方の保険会社への通知
⑤ケガの治療
⑥治療完了または後遺障害の認定により賠償損害額確定
⑦示談交渉
⑧示談成立(決裂した時は紛争処理機関、弁護士などの法的機関へ)

この中で重要な項目について、一つひとつ解説していきましょう。

相手(加害者)の身元の確認する

交通事故に遭った時は、今後、加害者と交渉していく必要がありますから、相手の名前と連絡先を確認しておくことが必須となります。
どこの誰が加害者なのかわからなければ、被害を補償してもらうことができません。

もう一つ、事故直後に相手方からもらっておくといいのが名刺です。

加害者が仕事中に起こした事故なら、勤務先の会社も損害賠償責任を負担する義務がありますし、
相手方が保険に加入していない場合、運転者の給料を差し押さえるケースもあります。

もし、相手が名刺を持っていないと言った時は、会社名や連絡先をメモしましょう。

たまに嘘で電話番号を言う不誠実な加害者がいます。
その場で電話をかけてみて、電話番号が正しいかどうか確かめるのも一つの方法です。

同時に車検証を確認することも必要です。車検証には自動車の所有者が記載されています。
加害者が運転していた自動車を所有する人も損害賠償を負担する義務があると法律で定められています。
自賠責保険や任意保険も確認しておきましょう。

携帯電話のカメラなどで写真を撮っておくとよいでしょう。

警察への通報

警察への通報では、その場で加害者が示談をしようと提案してきても、そ
れには応じず、必ず警察に通報することが大切です。

なぜなら、警察が作成する「交通事故証明書」や「物件事故報告書」をもとに
後日、保険会社との示談や裁判を行うからです。

警察へ通報しないと、極端な場合、その事故そのものがなかったことになってしまう可能性だってあるのです。

加害者、被害者双方の保険会社への通知

さきほどお話した通り、保険には自賠責保険と任意保険があります。
加害者に保険の加入の有無を確認し、保険会社へ連絡をとってもらいましょう。

これは交通事故の交渉においてポイントとなることですので、必ず事故直後に行ってください。

忘れていけないのは、被害者ご本人が加入されている任意保険が利用できるケースもありますので、こちらの通知も速やかに行うことです。

任意保険には様々な種類があるのですが、ご自身のケガの治療費などを負担してくれるものもあります。

「人身傷害補償特約」や「弁護士費用特約」、「搭乗者傷害特約」などは交通事故被害を受けたときに使うことができる場合があります。

ケガの治療

交通事故でケガをされた被害者の方が不安になるのは、ケガの治療をいったいいつまで続けるべきか、ということでしょう。
ケガが完治すればそこで治療をやめればいいので分かりやすいですが、問題となるのは、何らかの後遺症がある場合です。

基本的には医師が、「治療をこれ以上継続しても、改善が見られない」と判断した時が境界線になります。

これを専門的な言葉で「症状固定」といいます。
症状固定になったのに、まだ身体に障害が残っている場合には、「後遺症」ということになります。

医師が症状固定の判断を下してから先の治療は、原則としては、損害賠償に含まれないことになります。

ですから、交通事故の治療の場合は、主治医と密接なコミュニケーションをとり、
自分が今、どのような状態にあるかを常に把握することが大切になってきます。

交通事故によるケガの治療で、被害者の方がとまどうケースがあります。
それは、治療中にも関わらず、保険会社が治療費の支払いの打ち切りを通告してきた時です。

治療費の支払い打ち切りと言われると、これ以上、治療をしてはならない、という意味に受け取れますが、そうではありません。

これは、一旦、保険会社としては治療が終わったと判断しましたよ、ということです。
ただし、その後、治療が必要だったと分かった場合は費用をお支払いします、という意味なのです。

ですから、主治医と相談し、治療が必要であれば継続してください。

この時の治療にかかった費用は、後日、保険会社と交渉することになります。
ただし、過失相殺がある場合、治療費が全額認められるわけではありませんので、適切な治療に努めることが肝要です。

交通事故示談の流れと示談交渉の注意点をを弁護士が解説

交通事故の被害者が示談交渉において注意すべき点

示談交渉において注意すべき点があります。
それは、加害者の任意保険会社が提示してくる賠償金額を絶対に鵜呑みにしないということです。

任意保険会社が被害者に賠償金額を提示する際、
「任意保険会社基準に基づいてこの金額を算出しています」というようなことを言ってくることがあります。

被害者からすると、きちんとした基準で算出されているので適正な金額なのだな、と思ってしまいがちですが、
通常、この「任意保険会社基準」は裁判で認められる基準よりも低く設定されています。

つまり、弁護士が入って裁判をすると、もっと高い賠償金を払わないといけない可能性が高いのに、
それを分かっていて任意保険会社は賠償金を提示してきているのです。

同様に自賠責保険会社にも「自賠責基準」というものがあります。

これは、任意保険会社基準や裁判基準よりも低く設定されています。
つまり、交通事故の賠償金には3つの基準があり、以下のような関係になっているのです。

裁判基準(最大)>任意保険会社基準>自賠責基準(最小)

被害者の方がこのことを理解しているか、いないかは、損害賠償金の額を大きく左右します。

「基準に基づいて……」と保険会社から言われて示談書に判を押してしまうと、
本来、裁判基準であれば受け取れるかもしれない適正な賠償額を放棄してしまうことになるのです。

示談後に弁護士に相談してもどうしようもできません。

現実は、被害者にこのような知識がないため、自賠責基準、任意保険会社基準の賠償金で
示談されているケースがとても多いのです。

示談する前に交通事故に強い弁護士に相談する
ケガの治療が終了すると、加害者側の保険会社と損害賠償についての示談が始まります。

相手は保険のプロですから、誠意あふれる対応で、
「がんばって当社の最高の金額までもってきました」などと言うことがあります。

そこで、「こんなに一生懸命がんばって対応してくれたのだから」とか、
「大手の保険会社が提示した金額なのだから間違いはないだろう」と考える方もいるでしょう。

しかし、じつは保険会社の支払い基準と弁護士基準は別物で、両者の間には大きな差があることが少なくありません。

ここで示談してしまって、後日、弁護士に示談書を見せたところ、
「今回のようなケースでは、この賠償金額では明らかに相場より少ない金額です」
などと言われてしまうこともあります。

ですから、保険会社の担当者から提示された金額で、すぐに示談してはいけません。
弁護士などの専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。

もちろん、すべてのケースで金額が上がるわけではありませんが、
極端な場合、先方が提示した金額の10倍以上になるということもあります。

さらに詳しい内容については以下の弁護士解説の交通事故無料小冊子で解説をしています。

ご活用ください。