「争族(相続トラブル)」は、資産家だけの問題ではありません。
自宅が主な相続財産というごく普通の、それまで仲が良かった一般家庭にも「争族」は起こります。
長年、相続対策を専門分野にしてきた経験においても、公的なデータにおいても、ごく普通の一般家庭にこそ、むしろ「争族は多い」という結果になっています。
依頼者の相談を受けていて、これは「争族の黄色信号だな」と思う瞬間は、依頼者の口から「うちは仲が良いから大丈夫」という言葉が出たときです。
被相続人(相続をする側の人)がこの台詞をいったときほど、いざ相続になると、泥沼化するというケースを数え切れないほど見てきました。
なぜ、ごく普通の家庭にも相続トラブルは起こりやすいのでしょうか?
一般家庭は、相続の主な財産が自宅になります。複数の相続人がいた場合、自宅を引き継いだ人以外から不満が出ます。
お金で解決しようにも、手もとに現金がないのでどうしようもないのです。それどころか、相続税自体を支払う現金さえありません。
たちまち、仲が良かったご家族に亀裂が入りはじめます。
このような問題をすべて解決してくれるのが、「生命保険」です。
「生命保険に加入するくらいで何ができるんだ」と思う方もいるかもしれませんが、大半の相続問題は、「生命保険」によって解決されます。
もちろん、資産家の相続にも生命保険は非常に有効です。
この本で学んでいただいたことを、ご家族間、相続人間で共有することで、さらに絆が深まり、「家」と「財産」をスムーズに伝承していただければと思います。
目次
- 第1章 生命保険を賢く活用すると相続はここまで有利になる
・そもそも生命保険は本当に必要か
・「争族」は普通の家庭にこそ起きやすい
・保険金による「代償分割」で相続がスムーズに
・「代償分割」以外の3つの遺産分割方法
・生命保険絡みの相続トラブル集 - 第2章 生前贈与と生命保険を組み合わせる
・使い勝手の良い「生前贈与」という仕組み
・生前贈与を行うときの2つの選択肢
・暦年贈与 贈与税額の計算式
・生前贈与を相続人の生命保険にする発想
・相続税と贈与税はどちらがお得か
・生命保険を活用した3つの相続対策まとめ
・相続放棄をしても保険金は受け取れる? - 第3章 保険の中でも相続対策にとくに有効な「終身保険」
・保険による相続対策と他の選択肢の比較
・すべての保険が相続対策に有効なわけではない
・10秒で自分に合った保険を選べる「保険活用マップ」
・非課税枠は配偶者以外に適用した方がいい
・なんと90歳でも加入できる終身保険がある - 第4章 相続税のことで悩む相続人(子)が増えている
・自宅の相続における親子間のギャップ
・親の財産額を聞き出すためのテクニック
・不動産の相続では「測量」と「名義人の確認」を
・相続という現実からは逃げられない - 第5章 相続対策に「早すぎた」はない
・遺言書を作成する意味とは
・法的効力を持つ遺言書の2つの形式
・法律と遺言書はどちらの効力が強いのか
・人間関係の良し悪しが相続対策を左右する
・相続対策に数年の期間が必要な理由
・税理士は相続対策の心強い味方
著者紹介
税理士 鈴木和宏
1955年、大阪府生まれ。
京都産業大学・経営学部卒業後、大手百貨店子会社の経理部に入社。
その後、税理士事務所勤務を経て、1984年2月、税理士登録。同年8月、鈴木和宏税理士事務所を大阪府に開設。
2012年、GPC-Tax船場総合会計事務所に名称変更し、所長税理士に就任。
関西を中心に、生前贈与や保険と相続に関する多数のセミナー講師を務める。
著書「検討してみよう!生前贈与の基礎知識」(ファーストプレス)は、税務関連の本としては異例の5版を重ねるヒット作となった。
最新刊、「相続税対策50のポイント 生前贈与Q&A」も反響を呼んでいる。